この本はシステム発注側の担当者向けの本です。
対して僕はベンダー側の人間です。(本来の対象ではない)
ただ、それでもこの本は面白かったし参考になりました。
スマートな説明で分かりやすい!
もともとこの本を手に取った理由はシンプルで『ユーザ側の視点でのシステム導入を学びたい』という気持ちからでした。
敵を知り己を知れば百戦危うからず、というくらいの気持ち。
実際、その狙いに対する効果は抜群でした。
自分のこれまでの仕事内容と照らし合わせると色々と合点がいく。
そうか、そういうことだったのか・・・!
ベンダーの方にこそ手に取って読んでいただきたい本だな、と僕は思いました。
【ざっくり要約】
・自社システムの導入に関する問題の責任はベンダーでなく自社にあると思え
・自社の業務に一番詳しいのは自社なのだからプロジェクトの主導権を渡すな
・感情的にならずに俯瞰的にプロジェクトを捉えて進めよう
・そのための方法論を授ける(※超重要)
【感想(ちょっと要約も含む)】
上記の方法論が気になる方は是非手に取ってみてください。
また、ベンダーとして導入に苦労された経験がある方には特におすすめしたい。
ベンダーとしてのあるあるというか、「ユーザのこういう所マジで困りますよね!」っていうような内容が随所にあって、納得しやすいというか痛快でさえある(笑)
別にベンダーを擁護する内容ではないんですが、発注側の担当者に向けた内容であるため「ベンダーにぶん投げてそれで仕事しているつもりか?」と言わんばかりの内容は読んでいて気持ち良くもある。
ただ、悪質なベンダは○○するので要注意!的な内容に図星を突かれてドキリとすることもあったり(^^;)
本当に勉強になったのはユーザ目線でのシステム導入の一連の流れと、その中で苦労されていることが明かされているところ。
ベンダー視点でしか見えていなかった所が明らかになって目からうろこでした。
ああ、アレってそういうことだったのね、とか、じゃあこういうフォローしてあげていたら良かったんだ、とか考えることが出来てかなり参考になりました。
今まで立場の低いベンダーとして何でもかんでも請け負うスタンスだったけれど、それはそれでユーザ側に思わぬ負担というか弊害を与えていたんだなぁ、と反省することもあったり。
餅は餅屋と言いますが、社内の業務について一番詳しい人がいるのだから、説明会とかマニュアル作成についてはユーザと相談して効果的に作成・活用してもらうのが総合的には良かったり。
システムの課題管理と業務運用にかかわる課題管理、システムの動作テストと業務運用に沿った動作検証・・・
課題管理とテストという同じ言葉だけれども、ベンダーとユーザでは視野も取り扱い範囲も違う訳なのでそれぞれ別々に管理する、という言われてみれば当たり前の事実。
今まで自分が見えていなかった側面を知れたのは非常に大きな価値がある。
僕も今までベンダーとして数々のプロジェクトに参加してきましたが、ほぼ全てのユーザが自分たちでするべき仕事を丸投げしてきてましたよ(笑)
今までも「おかしいだろ」と思ってはいましたが、この本を見て確信できました。
殆どのシステム担当者は導入における自分の役割を把握できていない!
同時に自社の営業もその辺りの切り分けが出来ずに苦しんでいたんだなぁ、と実感。
本音を言うと、今後はこの本を常に携帯してユーザ側の各担当者にプレゼントしてあげたいくらいですよ(^^;)
「あなたの仕事内容について書いてますよ。勉強してください!」ってね。
(角が立つので絶対に実行できませんけどね。逆に言えば角さえ立たなければ実行した方がお互いにメリットがありますけどね。)
『ベンダー側が悪い訳ではない』というのは本質ではありません。
そうではなく、自社側でも改善できることは山ほどありますよね??というのが大事。
プロジェクトが円滑に遂行できるように、ユーザとベンダーが担う領域をしっかりと認識して管理し、ユーザ側が主体的にプロジェクトをコントロールすることで良い仕事をしようぜ!っていう本です。
(ベンダーに頼りっきりじゃ無理だぜ。何故ならこういう理屈だから!っていう本)
文章が読みやすいですし随所にケーススタディがあるので分かりやすいですよ(^^♪
これからシステム導入をされる方にも、過去に苦しい経験がある方にも、双方にオススメな一冊です。